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実際に行われたエクソシズム アンネリーゼ・ミシェル

映画ではないけど、先のエクソシストを検索していて見つけた話について。こういったものを半端に信じていて悪魔に影響を受けそうな人は見ないでください><

アンネリーゼ・ミシェルのエクソシズム 1/6

<動画の説明より引用>
これは、映画『エミリー・ローズ』のモデルとなったドイツ人女性、アンネリーゼ・ミシェル (Anneliese Michel 1952-1976) についてのドキュメンタリーです。製作はポーランド、2007年。
怖がらないでここにある真実を掴んで下さい。

ポーランドのドキュメンタリーだそうで、実際に行われた悪魔祓いを記録している。アンネリーゼ・ミシェルの元に派遣されたエクソシストや母が出演し、どういう事件だったのかキリスト教的立場から語られており、悪魔に取り付かれたというアンネリーゼの肉声も公開されている。

●事件の概要●
アンネリーゼ・ミシェルは信心深い家庭で育ち、思春期にてんかんを患い治療をしていた。だが次第にてんかんとは無関係な症状が現れ、幻覚を見たり床に叩きつけられるなど不可解な現象に見舞われ出したので、家族らや本人も次第に悪魔にとり付かれたと考えるようになり、教会に悪魔祓いを依頼する。しかし、なかなか許可が得られず、2年後の75年になってようやくエクソシストが派遣され、彼らの調査の結果、アンネリーゼには6体の悪魔がとりついていると判明した。エクソシストたちは幾度にもわたる挑戦の末一旦は悪魔祓いに成功し、支えなしに歩く事も困難だったアンネリーゼも自力で歩けるまで持ち直したが、その後マリア様から啓示を受け"悪魔に苦しむ沢山の人のため犠牲が必要、進んで犠牲になれるますか?"というような事を問われたといい、彼女は悩んだ挙句、自分のせいで多くの霊魂が苦しむ事になってはいけないと感じ、再び悪魔を宿したまま死を選び、23歳の若き命を犠牲にした。

●感想●
現実的な側面から見るとこの事件は、てんかんと診断されながら改善の兆しが見られないため、関係者が悪魔祓いに重点を置き適切な治療を受ける事ができず、結局は病状が悪化し拒食症状態の末、栄養失調状態となり痩せ細ってしまい、高熱を出し亡くなるという悲しくも凄惨な経過を辿ってしまったといえる。この時期の彼女は、環境が変化し女性としても悩みが多くなる年頃だったという事を考えると、勉学、恋心と宗教、そして自身の病気、将来への不安…、様々な感情に折り合いがつけられず、なんらかの精神障害を併発したと見るのが自然だろう。

残っている肉声のテープは確かに恐ろしげな声なのだが、エクソシストたちが派遣され録音を開始したのは75年からである。これは映画『エクソシスト』’73年(ドイツ版は多分74年)で表現された悪魔の低い声と似ている。どの"悪魔"もみんな同じ声で同じ言語に聞こえ、女性の声帯からでも出すのが不可能な性質の声ではない(やってみた。当然、普通の精神状態でこれを長時間続けるのは喉に負担を与えすぎるし、非常に困難だが)。アンネリーゼはテープに録音する事に同意し、全世界に放送されなければならないと言ったと出演者が証言している事から、この事実を伝えたいという気持ちがあったとともに、何らかの顕示欲があったのではとも伺える。

悪魔が取り付いた事が判明したといっているが、アンネリーゼが名乗っただけか誘導尋問によるものと考えるしかなく、悪魔たちは "カイン(人類最初の殺人と嘘を行った)" "ヒトラー(独裁者)" "ネロ(暴君)" "ルシファー(悪魔)" "ユダ(12使徒の裏切り者)" "フライシュマン(中世に存在した良からぬ司祭だったらしい)" の6名で、伝え聞く悪魔の中に、実在人物、そして架空人物にいたかどうか解らない人物までもが入り乱れていて、その時代や彼女自身の悪魔観を如実に伺わせる。

エクソシストの1人は、悪魔祓いの最中アンネリーゼがだみ声でマリア様の光臨を示唆した場面で、『このような事は聞いた事がなく、これと似た出来事はなかった』と証言し、神学者は『若い女性を虐げる悪魔には誰もあった事がないため、録音を聞いた人はショックを受けるだろう』と驚きをもって証言していたが、病気の影響や映画の影響があると考えられる為、彼らがこれまで学習・研究した中で見た事も聞いた事もない事例なのは当然だと思う。

出演者の証言によれば、医者は悪魔憑きだと分らんなどと協力的でなかったが、彼らは彼女を見放さず定期的に悪魔祓いをしていたようで、アンネリーゼ自身熱心な信者だったため、これを受け実際に症状が軽くなったのも確かなようである。こうした善意や、信者の為のエクソシズムを否定する気は毛頭ない。こうなってしまった事に対しても、彼女は自らの意思通り役割を果たして信じる世界に旅立ったと肯定したい気持ちはある。この場合は、実際にうら若き女性が目の前で悶絶していて、誰にも止めようがなく解決できなくて、神に祈りたくなる気持ちはわからないでもない。

けれど身の回りで超常現象としか思えない出来事があったとしても、実際に見た・聞いたなどの体験が全て客観的に真実の出来事とは限らないという事を忘れてはならない。私の体験では、実際に大きな音を聞き「今の音は何?」と尋ねた所、居合わせた他者には全く聞こえてなかったという事が幾度かあったし、他にも何度も金縛りやそれに伴う霊体験じみた感触に恐れをなした事もある。これらは自分にとっては真実の出来事や恐怖体験だとしても、他人が客観的に見れば、単なる空耳だったり、1人でうなされているだけで、言ってしまえばただの幻聴と睡眠障害である。そのような幻覚や精神病などによらなくとも、時間が経ち記憶が定かでなくなると夢と現実の区別が曖昧になったり、思い込みで事実だったと信じ込んだりして記憶違いも起こす。「あの人がそんな嘘を言うとは思えない」なんて事もよくあるし、本人に悪意がないものが多いだろう。昔心霊スポット付近で、私が冗談で「何かが見える」といったため、しまいには他人の口からも「白い影だった」「髪の長い女だった」と具体性を帯びる証言が飛び出しはじめ、皆恐ろしくなって逃げるようにその場を離れたという事があった。ありもしない事が、恐怖によって事実のように感じられ、しかも伝播したのである。

もちろん科学で解明できない領域は未だ沢山あるし、全てに説明が付くなんて思わないけれど、私達は未知の体験にとても臆病だし、脳は時として大変嘘つきだ。

一連の出来事は裁判にもなって父母やエクソシストは過失致死により有罪とされ事件は幕を閉じた。しかし彼らは「アンネリーゼの苦しみや死は、キリストがそうであったように償いの性質を持っていて、悪魔への敗北ではなく勝利であるのに、この出来事にあまりにも人々の理解がない」と未だに感じているようだった。

出演者らにとって信じるに値する衝撃的事件だった事は理解できるけれど、1人の女性が亡くなってしまった一連の出来事を神秘として祭り上げるかのような編集姿勢には疑問を感じる。感受性が強く大きな不安を抱えた人は、時としてこういった神秘性に著しく影響を受けやすい事があるからだ。そんなわけで、私なりの感想を書いてみた。映画ではどのように描かれているのか、エミリー・ローズの方もいつか見てみたい。



by a-n-a-n | 2010-09-16 19:58 | 色々雑多
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