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テキサス・チェーンソー ビギニング ★★★☆☆

ジョナサン・リーベスマン監督、2006年、米
ジョーダナ・ブリュースター、マシュー・ボーマー、テイラー・ハンドリー、ディオラ・ベアード、R・リー・アーメイ、キャシー・ラムキン他

●あらすじ●
テキサスのド田舎で、4人の若者が次々と変な一族に襲われる…!

●感想● ネタバレ?
グロ注意!正直、虐殺系ホラーで「ビギニング」やるのは面白味にかけると思う。どんなに希望を抱いてみた所で、未来に繋がる結末は変えようがないから、ラストが解りきっているし…。そのためグロさや悲惨さはUPしているものの、ほぼ救いがない作品となっている。内容は、前作を見て疑問に感じた所に少しスポットがあたっていた。ヒューイット家を主役として物語が進んでゆく。

といっても、謎が全部明かされたわけではない。チェーンソー男トーマスの出生の秘密が申し訳程度に描かれ、そしてたぶんこれは「はじめてのチェーンソー ~トーマス&チャーリー覚醒物語~」ではあるのだが、どちらかと言えば偽保安官チャーリー(ホイト)にスポットが当てられており、チャーリーの壮絶な過去体験も明かされている。一家がお肉に困らなくなった事とトーマス&チャーリーはいいとして、他のメンバーはやっぱり謎めいている。もうこいつら元からどっかおかしかったんだろうね、という感じが伝わるくらいだ。被害者女が家系や血統に関わる質問として変な事を聞いていた部分にヒントはあるだろうか。まぁ一家はその質問に戦慄し激怒していたけど。

お婆さんと太った女が楽しそうにスイーツ話に花を咲かせつつ、そのテーブルの下には金髪女が捕らえられ泣いているという一族の異常性を伺わせる描写があった。確かにティータイムにテーブルガタガタされても平気だなんて信じられない、私なら切れる所だ。ガタガタしても怒られないなら、テーブルの脚を浮かせて縄を外せるだろうに、やってるほうもやられてるほうもアホである。他にも、食卓で被害者を殺したりしてテーブルクロスが血に汚れるとか、床に落ちた指を拾って鍋に入れるとか、見た目も含めてやってる事に清潔さと品がない。野性味溢れる田舎くさい残虐性は無慈悲で恐ろしいものなのだが、あまりにも洗練されず汚らしいので、一家の感性に嫌悪感を抱いてしまう。

私にとってこれは楽しい怖さじゃなかった。例えば、これが日本の田舎の隠された暗部の無茶な話とかなら「ありそう…」とリアリティを感じられたかもしれないけど、例えこの話にそういう側面の恐怖があったとしても、残念ながらテキサスなんてよく知らないし、どう捉えていいのかよく分らない。

しかし自分たちで拉致った癖に侵入者にはあの逆切れっぷり、頭がおかしいとしか言えないが、無きにしも非ずという感じがしないでもない。アメリカは日本より自己防衛の概念が発達している。中でも現在のテキサスでは、家だけでなく職場や車内などに不法侵入してきた者に対して、退却する義務を負わず、銃等殺傷能力のある武器を使用しても自己防衛・正当防衛を認める法案があるそうだ(他の州でもあるし、州によって少し違ってたりもする。これらはキャッスル・ドクトリン Castle doctrine というらしい)。このため他人の庭に踏み込んだら射殺されてもある意味仕方ない。相手テリトリーに入り込むのは推奨されない行為だから、やめておこう。

被害者の若者たちはチャラチャラしているようでいて、徴兵を目前にして悩み今後の生き方を見出そうとする好青年だった。確かに、行動はどうみても馬鹿である。突如暴走族女をショットガンで撃ち殺し、自分にもリンチを加えてトラバサミにかけ、屈強な兄を連れ去った保安官&チェーンソー男がいるのに、女が一人で助けに行くといっても止めない。どう考えても、大の男連中が敗北した相手に女が何か出来るはずないし、車で逃がして通報させる方が安全で話が早い。こんな風にちょっと頭が悪いだけの好青年が、理不尽に痛めつけられ、なすすべなく一家に蹂躙されてしまう。まるで、猫が獲物を捕まえても殺さずに飽きるまでいたぶり続けるかのように…。狂気というよりは不条理という方がしっくりくる。

大体の展開は前作と一緒だし、個人的には細かい演出や映像などで前の方が良かったかなと思う。ひたすらなスプラッターが見たい人なら…。



by a-n-a-n | 2010-08-17 08:55 |   映画感想順
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