クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち ★★★☆☆
オリヴィエ・ダアン監督、2004年、仏
ジャン・レノ、ブノワ・マジメル、クリストファー・リー、カミーユ・ナッタ他
●あらすじ●
修道院の禁じられた部屋にキリスト像を打ち付けると血が流れ出た。調査に赴いた警視は壁の中に死体がある事を発見し、宗教絡みの事件として捜査を開始するが、12の使徒は次々と殺されていく…。
●感想● 全篇ネタバレ
クリムゾン・リバー2ということだが、当然1は見てない。映像は暗すぎるけど、アングルや色使いに雰囲気があり、どこを切り取っても絵になる。主役二人のコンビも良い味出してて、好きになれる。この事件の真相を知りたいと思わせる導入に成功しており、風呂敷の広げ方も良かった。緊迫したシーンも多く、勢いだけで全部見れた。しかし、肝心のストーリーがどうなんすか。
<ちょっと自信ないけど、話を整理してみる。>
殺された使徒…イエス似の人物を中心とし12人の使徒で構成されるキリスト教徒たち。十二使徒と同じ名前・職業のメンバーを集める拘りようで、最後の晩餐を真似て写真を撮っていたりする変ななりきり集団。カルト。舞台となる古い修道院をただ同然で買い取って、市民の救いに役立てようと思っていたところ、封印された秘宝への入り口やら鍵を見つけたため、"フードを被った集団"に狙われメンバーが殺されていった。おかげで、最後の審判の日が来るなどと終末思想全開な調子付いた勘違いをし、捜査陣と視聴者を混乱させた。
フードを被った集団…ドイツの大臣を中心とした秘密組織。キリスト教の秘宝を手に入れ、信心深い新ヨーロッパの誕生をもくろむ。大臣は戦時中にこの場所を発見し、現在まで密かに調査を続け地域の隠された"秘密"を解き明かした。修道院を買い戻させた他、付近の土地も購入すべく交渉していた。フード&ローブの奴らは修道士のフリをしているが、冒頭で緑色のブーツを履いていたシーンが写されている事から、日ごろから訓練を受けていると思われる。さらにアンフェタミンを服用し超人的な能力があった。ドイツ人。
秘密…付近一帯がマジノ線に繋がっていて、地下にキリスト教の"秘宝"が隠されてる。
秘宝…レア、いやユニークアイテムであり書物。トレジャーハンター映画を髣髴とさせる大げさな罠に守られていた。キリスト教的に神や歴史を正当化できるような伝説的アイテムなのだろう。熱心な信者なら、こういう存在に夢を見たり、有難がっても不思議ではない。
大体まとまった。さて、この映画を見終わった多くの視聴者は、そもそも自分たちが黒幕側なら、内々に済ませて通報しなかったらいいだろと思ったはずだが、私がその謎に答えてみたいと思う。
新しく来た新人が勝手に禁じられた13番部屋を使い、それを発見した人物は不吉だなどと言って神父に報告していた。見に行けば、壁に据付けた十字架から血が流れている。奇跡とかいって信仰を集め商売して良いレベルの珍現象だ。だが、彼らは自分たちで調査するでもなく淡々と即座に通報した。それが事件であると知っている人物がいたからである。腐敗臭がすごかったのかもしれないが。ともかく、通報すればこの恐ろしい殺人が明るみなり、すでに鍵を手に入れていた『なりきり集団12使徒』に対し脅しが成立する。が、どう考えても修道院関係者か業者が犯人という事がバレてしまうため、自身にも捜査の手が伸びる危険すぎる賭けだと思うだろう。だが違うのだ。
結局の所、主人公ら警察組織は、あれだけ動き回りながら、ただただ発生した事件を追いかけているだけだった。呼びつけた宗教学者は自身の役割をこなしたものの、この方向性の捜査は事件の本筋に無関係で謎を深めただけだったし、白昼のスーパーで先回って生存しているターゲットを発見しながらも殺人を阻止できず、複数来ていた怪しげなフード集団を全員取り逃がしている。病院では職務を果たさずナンパしてる奴がいるし、検視は間違った検査結果を出して更なる混乱に陥れる。湖ではどうだっただろう?漁師と言っても伝説ではエビ・カニなどを採っていたから、この湖は違うと言った途端に死体が見つかった。突入だってたったの二人で行い、案の定捕まり縛り上げられる始末。二人で組織に対抗できるはずがないのは分り切った事なので、立場を利用し秘宝への好奇心を満たしに行っただけにすぎない。ともかく本質的に彼らは、視聴者カメラの役割しか果たしてなかった。事件が終わってみて、彼らがこの事件で逮捕できたのはおそらく0名、皆死んだ。
それだけではない。別の捜査をしている場面でもダメっぷりが描かれていた。半年かけて追っていた事件だったのに、一人の刑事が痺れを切らし勝手に突入して流血乱闘沙汰を起こした挙句、帰りに余所見運転をして人を跳ねた。ここらをよく見ていなかった私は、チンピラ集団の抗争だなと信じきっていたほどだ。結果的に跳ねられた人物がイエスだったという棚ボタがあり、この刑事が12使徒事件に関わる切欠になったものの、酷すぎやしないか。この一連のシーンが大した意味を持たない割りに長すぎたように感じた人は多かったと思うが、フランス警察ではどの部署でもどうしようもないダメ組織である事を伺わせる為に重要な意味があったのである。
こんな無能組織にできる事なんてあるだろうか?
神父は伊達に歳をとってない。人生の中でこのような腐ったフランス警察の無能さを嫌というほど知り尽くしていた。だからこそ敢えて脅しを掛ける選択が出来たのだ!案の定、修道院生き埋め事件でも「記録は残してない」と言っただけで納得し、ろくな成果をあげなかった。彼らの集団は、意味ありげに十字とパンといった記号を残して捜査陣をかく乱しつつ、鍵を追い求めた。だがそんな事するまでもなく警察は真相にたどり着きそうにないため、途中から小細工するのも馬鹿馬鹿しくなって4人まとめて殺したりしたわけなのだ。決して映画的に投げやりな描写になったわけではない!しかし失敗も犯した。ラストシーンである。たった二人でやって来た無能たちなど放っておいても出来る事なんてあるはずないので、縛って生かしてしまった。秘宝を見せびらかして野望を語ってから殺すつもりだったろうが、これは彼ら警察が舐められていた証に他ならない。
まぁ、無理やりに解釈してみたが、少しの知性も感じさせないほど変なシナリオだった。しかし、勢いと謎めかしい雰囲気だけで引っ張られる事は確かなので、なんだか勿体無い映画だったのも事実。前半の緻密さとワクワク感はどこへやら…、最後はなんか違うハリウッド映画みたいな印象で幕を閉じるのだった。
ジャン・レノ、ブノワ・マジメル、クリストファー・リー、カミーユ・ナッタ他
●あらすじ●
修道院の禁じられた部屋にキリスト像を打ち付けると血が流れ出た。調査に赴いた警視は壁の中に死体がある事を発見し、宗教絡みの事件として捜査を開始するが、12の使徒は次々と殺されていく…。
●感想● 全篇ネタバレ
クリムゾン・リバー2ということだが、当然1は見てない。映像は暗すぎるけど、アングルや色使いに雰囲気があり、どこを切り取っても絵になる。主役二人のコンビも良い味出してて、好きになれる。この事件の真相を知りたいと思わせる導入に成功しており、風呂敷の広げ方も良かった。緊迫したシーンも多く、勢いだけで全部見れた。しかし、肝心のストーリーがどうなんすか。
<ちょっと自信ないけど、話を整理してみる。>
殺された使徒…イエス似の人物を中心とし12人の使徒で構成されるキリスト教徒たち。十二使徒と同じ名前・職業のメンバーを集める拘りようで、最後の晩餐を真似て写真を撮っていたりする変ななりきり集団。カルト。舞台となる古い修道院をただ同然で買い取って、市民の救いに役立てようと思っていたところ、封印された秘宝への入り口やら鍵を見つけたため、"フードを被った集団"に狙われメンバーが殺されていった。おかげで、最後の審判の日が来るなどと終末思想全開な調子付いた勘違いをし、捜査陣と視聴者を混乱させた。
フードを被った集団…ドイツの大臣を中心とした秘密組織。キリスト教の秘宝を手に入れ、信心深い新ヨーロッパの誕生をもくろむ。大臣は戦時中にこの場所を発見し、現在まで密かに調査を続け地域の隠された"秘密"を解き明かした。修道院を買い戻させた他、付近の土地も購入すべく交渉していた。フード&ローブの奴らは修道士のフリをしているが、冒頭で緑色のブーツを履いていたシーンが写されている事から、日ごろから訓練を受けていると思われる。さらにアンフェタミンを服用し超人的な能力があった。ドイツ人。
秘密…付近一帯がマジノ線に繋がっていて、地下にキリスト教の"秘宝"が隠されてる。
秘宝…レア、いやユニークアイテムであり書物。トレジャーハンター映画を髣髴とさせる大げさな罠に守られていた。キリスト教的に神や歴史を正当化できるような伝説的アイテムなのだろう。熱心な信者なら、こういう存在に夢を見たり、有難がっても不思議ではない。
大体まとまった。さて、この映画を見終わった多くの視聴者は、そもそも自分たちが黒幕側なら、内々に済ませて通報しなかったらいいだろと思ったはずだが、私がその謎に答えてみたいと思う。
新しく来た新人が勝手に禁じられた13番部屋を使い、それを発見した人物は不吉だなどと言って神父に報告していた。見に行けば、壁に据付けた十字架から血が流れている。奇跡とかいって信仰を集め商売して良いレベルの珍現象だ。だが、彼らは自分たちで調査するでもなく淡々と即座に通報した。それが事件であると知っている人物がいたからである。腐敗臭がすごかったのかもしれないが。ともかく、通報すればこの恐ろしい殺人が明るみなり、すでに鍵を手に入れていた『なりきり集団12使徒』に対し脅しが成立する。が、どう考えても修道院関係者か業者が犯人という事がバレてしまうため、自身にも捜査の手が伸びる危険すぎる賭けだと思うだろう。だが違うのだ。
結局の所、主人公ら警察組織は、あれだけ動き回りながら、ただただ発生した事件を追いかけているだけだった。呼びつけた宗教学者は自身の役割をこなしたものの、この方向性の捜査は事件の本筋に無関係で謎を深めただけだったし、白昼のスーパーで先回って生存しているターゲットを発見しながらも殺人を阻止できず、複数来ていた怪しげなフード集団を全員取り逃がしている。病院では職務を果たさずナンパしてる奴がいるし、検視は間違った検査結果を出して更なる混乱に陥れる。湖ではどうだっただろう?漁師と言っても伝説ではエビ・カニなどを採っていたから、この湖は違うと言った途端に死体が見つかった。突入だってたったの二人で行い、案の定捕まり縛り上げられる始末。二人で組織に対抗できるはずがないのは分り切った事なので、立場を利用し秘宝への好奇心を満たしに行っただけにすぎない。ともかく本質的に彼らは、視聴者カメラの役割しか果たしてなかった。事件が終わってみて、彼らがこの事件で逮捕できたのはおそらく0名、皆死んだ。
それだけではない。別の捜査をしている場面でもダメっぷりが描かれていた。半年かけて追っていた事件だったのに、一人の刑事が痺れを切らし勝手に突入して流血乱闘沙汰を起こした挙句、帰りに余所見運転をして人を跳ねた。ここらをよく見ていなかった私は、チンピラ集団の抗争だなと信じきっていたほどだ。結果的に跳ねられた人物がイエスだったという棚ボタがあり、この刑事が12使徒事件に関わる切欠になったものの、酷すぎやしないか。この一連のシーンが大した意味を持たない割りに長すぎたように感じた人は多かったと思うが、フランス警察ではどの部署でもどうしようもないダメ組織である事を伺わせる為に重要な意味があったのである。
こんな無能組織にできる事なんてあるだろうか?
神父は伊達に歳をとってない。人生の中でこのような腐ったフランス警察の無能さを嫌というほど知り尽くしていた。だからこそ敢えて脅しを掛ける選択が出来たのだ!案の定、修道院生き埋め事件でも「記録は残してない」と言っただけで納得し、ろくな成果をあげなかった。彼らの集団は、意味ありげに十字とパンといった記号を残して捜査陣をかく乱しつつ、鍵を追い求めた。だがそんな事するまでもなく警察は真相にたどり着きそうにないため、途中から小細工するのも馬鹿馬鹿しくなって4人まとめて殺したりしたわけなのだ。決して映画的に投げやりな描写になったわけではない!しかし失敗も犯した。ラストシーンである。たった二人でやって来た無能たちなど放っておいても出来る事なんてあるはずないので、縛って生かしてしまった。秘宝を見せびらかして野望を語ってから殺すつもりだったろうが、これは彼ら警察が舐められていた証に他ならない。
まぁ、無理やりに解釈してみたが、少しの知性も感じさせないほど変なシナリオだった。しかし、勢いと謎めかしい雰囲気だけで引っ張られる事は確かなので、なんだか勿体無い映画だったのも事実。前半の緻密さとワクワク感はどこへやら…、最後はなんか違うハリウッド映画みたいな印象で幕を閉じるのだった。
by a-n-a-n | 2010-07-27 01:49 | 映画感想順 | Trackback
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